レンタカーともカーシェアリングとも異なる、クルマの「定額制乗り換え放題」が誕生した。IDOM(旧ガリバーインターナショナル)が8月に1都3県の100人限定で始めた「NOREL」は、月額4万9800円(税別)で中古車を自由に乗り換えられるサービスだ。今後はほぼ毎月、会員数の上限を増やす予定で、来年頭にかけて全国展開を目指すという。
クルマを「所有」に近い感覚で利用できることと、頻繁な乗り換えを両立するサービスといえる。「家族がいるからミニバンにしたような人も、利用シーンに応じてクルマを使い分けられる」(IDOM新規事業開発室長の北島昇氏)。現状、1車種の最短利用期間は90日で、年に最大で4台までの計算。最長は次の車検までだが、気に入ったらそのまま買い取れる仕組みも検討していくという。
月額料金は安いとはいえないが、レンタカーを頻繁に使うならメリットはありそうだ。税別4万9800円には自動車税や任意保険の保険料も含まれ、追加の負担はガソリン代と駐車場代のみ。事故を起こして車両が全損になった場合の自己負担額は10万円だ。
●レンタル期間/90日~車検時期
●先行リリース地域/東京、神奈川、埼玉、千葉の91店(8月中旬時点)で受け取り可能
●募集人数/当初100名から順次拡大
クルマを衣服のように気軽に選べるものにしたい
申し込みはウェブサイトから行い、近所のIDOMグループの店舗で受け取るという流れ。申し込みから受け取りまでの日数は、現状では20~25日だという。
NORELで借りられるクルマは、当初はガリバーが買い取った中古車の在庫から、一定の品質基準などを満たしたものが抽出され、ラインアップは毎日変わる。8月下旬時点では約400台で、スズキ・ワゴンRからベンツ Sクラスまで、価格帯もバラエティ豊かだ。今後は、メーカーからプロモーション用に提供される新車や、法人などの遊休車両も加えるという。
「クルマを衣服のように気軽に選べるものにしたい。中古車販売事業にマイナスの影響があっても構わない」(北島氏)。まだ試験段階のサービスだが、自動車業界を変える潜在力はありそうだ。
(文/日経トレンディ編集部)